排
便 困 難 症
あまり固くないのに便が出にくい、と訴える
患者さんはじつにたくさんいます。そのような方はありとあらゆる『下剤』を試しています。また、『下剤』をもとめて医者を転々とします。下剤の飲み過ぎで
激しい腹痛を起こしてあわてて受診します。下剤が多すぎると説明しても全く納得しません。下剤が多すぎて下痢になっていても《私は便秘症です》と言って聞
き入れません。多すぎる下剤で直腸は強く収縮しています。直腸内圧が異常に高くなっているために便がたまったままになっていると勘違いをしているのです。
下剤を処方しないと
必ず来院しなくなります。治療にはとても難渋します。このような症例は便秘症ではなく、いわゆる排便困難症です。
下剤にはいったん硬くなった便を柔らかくする作用はありません。腸管の蠕動運動を亢進させるだけです。だから下剤が多すぎたらたいていおなかが痛くなり
ます。
便秘の定義はありません。4日に
1回であろうが5日に1回であろうが、特別な症状もなく、排便時に苦痛もなければその方は正常です。前述の排便困難症の場合は直腸に便がなく、便以外のも
ので直腸の内圧が上昇するためにまちがえて便意を感じているのです。以下にそのような症例を紹介します。
1 直腸出口閉塞症候群、直
腸粘膜脱症候群
2 直腸脱
3 直腸膣壁弛緩症
4 直腸炎
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